現在建築途中だが、先日気密検査を行なった。
結果的に非常に良好な気密度を示すC値1以下、以下の写真のようにC値=0.8になった。
これは施工途中の気密レベルで言ったらかなり優秀な数値と言える。
壁紙、クロスなど装飾が加わる分気密性も増すからだ。
積水ハウスでなぜここまで良い数値を叩き出すことができたのかを考察し報告する。
気密とは
そもそもなぜ気密が大事なのか。
それは住宅内の保温性を高める重要な要素だからだ。
住宅内の保温性に必要な要素は断熱材の厚さと気密度に分かれる。
気密というのは要するに「隙間風の入りにくさ」である。
隙間風は屋根や壁、窓やドアの隙間、ニッチなところで言えばコンセントや配管の隙間から入ってくる。
それをゼロにするのは不可能である。
しかしそれをどれだけ防げているか、というの定量評価をしたものがC値である。
断熱材をいくら分厚くしようと、隙間風ビュービューだと外の寒い、暑い風が入り込んでくるので、エアコンの効き目はすごく悪くなる。
当然光熱費もあがる。
なので、気密性を保つのは、良い家を作るために、絶対必要条件だ。
どうすれば気密性の高い家を作ってくれるのか
性能を謳う住宅メーカーはそれほど多くはない。
有名なところでは一条工務店が有名だが、機能に全振りで、規格住宅感満載でなんだかデザインに浪漫を感じない。
まあ一条工務店も「住まいは機能」とデカデカと謳っているので、性能以外は二の次、という姿勢を堂々と宣伝しているようなものなので、それはそれで信念があってよいのではないだろうか。
反対にデザイン性に重点を置いている今回契約した積水ハウス、またご縁はなかったが住友林業などは気密、断熱についての性能のきこえはよくない。
そして性能について得意としていないメーカーに、家の性能を上げようとすると非常に値段が上がるようだ。
なので今回の自邸もお世辞にも安いとは言えない建築価格だ。
UA値=0.46という当該地域の断熱等級6を目指した影響もある。
そもそも積水ハウスというハイブランドハウスメーカーで40坪以上の平屋で、キッチンやトイレも高級使用にしたりと、建築費があがった原因ばかりではあるが。
繰り返しになるが、断熱性能がいくらあがっても、隙間風ビュービューだったら意味がないため、気密性能には十分留意するようお願いした。
高気密と言われるのは一般的にC値 1以下であり、自邸にも1以下を目指すようお願いしたが、担当営業マンから現場監督まで、おしなべて顔が曇った。
積水ハウスが高気密住宅の建築にそこまでこだわっていないため、確実にC値1以下にします、といえないようだ。
それは決して責められることではない。
デザイン性の高さを誇り重視しているので、一定の断熱性、気密性さえすれば良いというのが大方の考え方だからだ。
しかしデザインだけではなく私は高性能にこだわった。
積水ハウスの「気密施工仕様」というカテゴリーを選択し、その影響で値段は建築費は上乗せされているわけだから、とことん気密にもこだわりたい。
なので、施主としてはなんとしても気密をあげてもらうようメーカーには注力するようお願いした。
気密検査
気密検査はもともと積水ハウスの標準メニューにはない。
ただいえば、気密測定のオプションは存在する。
15万円かけて、建築途中と完成時、2回の測定をお願いした。
そして先日、1回目の気密検査を行なった。
左のバズーカは建物内の空気を吸い込んで外に吐き出す機会で、建物内を負圧にする。
右の写真はバズーカの内部で、先端にセンサーが付いている。
私は午後からの参加だったが、すでに午前中から何度かC値を測定していたらしく、C値1以下を目指すため、気密施行を追加していた。
積水ハウスでは普段行わないような気密施工も追加していただいた。
私が到着し、測定士の方が、固唾を飲みながら、測定器のスイッチを押した。
そしてついにC値=0.8が出た。
その瞬間、測定士と、この気密施工のために呼ばれた職人から歓声があがった
高気密施工をやってもらうために施主がすること
気密施工に対して注視していることに、契約前から伝える必要がある。
私の場合は積水ハウスと大和ハウス以外の担当営業マンは私のUA値とC値のこだわりについて理解を示してくださらなかった。
そもそもUA値とC値の意味を逆に捉えてしまっていた担当営業マンもいた。(店長クラスだったが)
もし仮に、積水ハウス以外とタッグを組んでも、「大丈夫です、これでも十分な性能です」など適当なことを言ってケムに巻かれたにちがいない。
なので、目の前の営業マンがちゃんと自分に寄り添ってくれるのかよくよく観察する必要がある。
そしていわゆる高級ハウスメーカーはお世辞にも断熱性や気密性について、あまり積極的には取り組んでいない印象を受ける。
なので信頼できる担当営業マンと契約しただけでは安心はできない。
高性能な住宅になるために自分がリードしないといけないからだ。
今回は気密に関して要点を絞ると
①ハウスメーカーの気密施工仕様を選択すること
②建築途中と完成後で2回の気密測定をお願いすること
である。
気密施工仕様がそもそもなければ、気密にしようがないので、高気密にしたいのならそのハウスメーカーにするのはやめておこう。
積水ハウスに限って言えば、気密施工仕様は存在した。
しかしその積水ハウスの「標準」気密施工だけではC値を1下回ることはできない。
下の画像を見て欲しい
天井裏のコードを間仕切り壁の内部に回すため、天井の隙間からコードが下に伸びているところである。
①はコード以外の部分から空気が出ないようにテープで補強している。
これは標準の気密施工でも行われる。
しかしこれだけはC値は1を下回らなかった。
そこで②の糊のような素材によってテープ間の隙間すらも埋めて気密性を上げるのだ。
これらの追加施工はある程度の練度が必要らしく、そのための職人が招聘されていた。
これら緻密な施工と努力によってようやくC値=0.8となった。
②のような施工は積水ハウスの標準気密施工にはない。
しかしここまでやっていただけたのは、気密性をあげることにこだわっていることに、担当営業マンから現場監督や職人に十分アピールされた結果だと思う。
たった一人の施主の意見や知恵、そしてそれに賛同してくれた担当営業マンと、現場の努力があってこそだ。
とにかく学べ
動画や書籍から情報を集めて自分で勉強することが肝要だ。
施主がリードしないとよりよい家は作れない。
ローコストだろうが高級ハウスメーカーだろうが、着工件数を増やす、回転数を増やすのが利益形態であるためだ。
高級ハウスメーカーはホスピタリティーがローコストメーカーに比べて担保されているので、ゆっくり打ち合わせする猶予が施主側にも担当営業マンにも持たされている。
なので、落ち着いて打ち合わせしていけば、確実に80点の家は作れるだろう。
しかしそれよりも高得点を目指すのなら、施主がリードして、熱意を伝えないといけない。
超高額な贅沢品を買うのだ。
基本的に大きな借金を背負って手にいれる贅沢品だ。
それぐらいの努力する気概がなければ、その程度の建物になるということだろう。
逆にやらなくてよかったと感じたこと
値切り。
これは本当にやらなくてよかった。
設備のグレードを落として、建築費用を下げるのは当然問題ない。
契約前に向こうから提示したディスカウントも問題ない。
それはそもそも織り込み済みの値段だから。
しかし施主側による根拠のない強引な値切りは絶対にしない方がよい。
値切りの皺寄せは確実に人件費に及ぶ。
つまり担当営業マンと職人の成果報酬が下げられる。
積水ハウスに限っていうならば、かなり丁寧に施工しているのが素人目で見てもわかる。
これほどまでに気密施工も丁寧行い、基礎の段階でも非常に美しい仕上がりだった。
自邸のために、つまり人の家のために、ここまで丁寧に施工し、いつも綺麗な現場を保ってくれる現場の方々の成果報酬を削ってしまうなど人道に反する。
担当営業マンの腕次第でも家の完成度が変わるのは今までの記事で何度も述べた。
その営業マンとの信頼を崩しかねない交渉は避けるべきだ。
まとめ
まずは信頼のできる営業マンと出会うこと。
次に猛勉強し、自身の哲学を持ち、担当営業マンと設計士とそのチームと考えを共有し、現場の方々にリスペクトを持ちながら、自身の希望を通すこと。
決して簡単なことではないと思った。
でも今から建てるのは、大きな借金をしてまで手にいれる、言い換えれば身の丈に合わない買い物をする、注文住宅だ。
それしきの困難を乗り越える気概がなければ、そもそも挑まない方が身のためだ。
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