出産予定日になっても全然産まれる気配なく、しかも胎児は通常より大きめ。
切迫感なく、いつも通りニッコニコで診察室に入り定期診察を受ける嫁を見て、担当医は
こりゃ全然だめだ!!
と伝家の宝刀、卵膜ベリベリ法を嫁にお見舞いした。
卵膜ベリベリ法(正式名称失念)とは子宮口を指を入れ直接物理的に卵膜を剥がすという手法で早くて施行日、もしくは翌日には産まれるという技らしい。
ただしこれが
めっちゃくちゃ痛い!!
嫁は診察台を降りるとシクシク泣いて、しばらく呆然としたらしい。
それまでニッコニコで担当医にご挨拶していたのに。
さながら、これから起きる恐怖を知らずに、ワクワクして獣医に飛びついていたワンちゃんが、ふいに痛い注射を受けてショゲて耳も尻尾も垂れてしまったかのような変わり方だ。
不謹慎だがそんな嫁を可愛らしく思った。
ただその後嫁は
この頑張りのおかげで赤ちゃんを産むことができるんだ!!
と意気込んでいた。
しかしその後もまったく出産の気配なく、完全に我々は肩透かしをくらっていた。
その二日後にもまた卵膜ベリベリ法を食らい、嫁はまたシクシク泣いていた。
さすがに不憫な気持ちだったが、今度こそ産まれるだろうと励ました。
それでも胎児の状況はほとんど変わりなかった。
結局来週子宮収縮薬を使用する予定となり、我々は若干開き直って、来週頑張ろう!という結論になった。
そして今日仕事の合間にLINEで「まったく、うちらの子はマイペースな子だね!」なんてやり取りをしていたその時、
は、は、破水したーーーーーー!!!!!!
と嫁から。
ま、ま、ま、
マジかーーーーーーーーーーーーー!!!!
里帰り中の嫁の実家のお母さんはお風呂上がりだったらしく、ちょ、ちょっと、まってーー!、お父さんはこれから出かける予定だったらしく、え、え、えっ、どうしよう!
急に家の中が慌ただしくてんやわんやになったようだ。
そして今嫁は入院し、分娩できる個室に入っている。
最初は余裕しゃくしゃくで、笑顔で入院した姿を写真に収めて送るほどだった。
しかし時間が経つにつれ、痛みの強度が増し、その周期も短くなり、徐々に嫁の体力を削っていった。
分娩個室に入って8時間程度経過している。
テレビ電話でやりとりしているが、だんだん陣痛の間隔が狭くなり数分に1回、強烈な陣痛がくるようで、息遣いも荒い。
頑張って苦しんでいる姿を見るたび胸が苦しくなり、同時に嫁に感謝し、時に涙しそうになる。
これからまだ数時間続くだろう戦いに自分はただただ無事を祈るしかない。
がんばれ、妻よ、がんばれ、我が子よ
戦いの記録を今ここに残そう。
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