平凡脳外科医のマイホーム計画⑨(住宅購入のタイミング編)

マイホーム計画

住宅購入に関する悩みは尽きない。

すでに住宅ローンが始まって、引き渡しを待つ私も、自分のとった選択が正しいのかはわからない。

娘の小さいうちから長く過ごす自宅、娘にとって思い出の実家を建てたくて、思い切って注文住宅を建てた。

しかし、今こんな大きい買い物をしてもよかったのか、そんな悩みでうなされる自分を励ます理論を集めた。

完全に気休めな理論を構築した割には、それなりに書籍や動画を調べて考察した。

今回はマクロ経済から正当性を証明していきたいと思う。

インフレマインドへの転換

住宅の購入タイミングはインフレについて触れずに語れないので、しばらくはインフレについて話していきたいと思う。

日本は今、インフレの継続の確実性について、政府、日銀が固唾を吞んで注視している。

バブル崩壊以降、低金利が続き、2013年の黒田バズーカ以降、マイナス金利に踏み切って、これでもかとインフレのアクセルを踏み続け、いまようやく持続インフレの兆しが見えてきた。

もしインフレの持続性が確実ならば、一刻も早くお金→(資産性のある)モノに変えないといけない。

モノの値段がインフレ率分上昇するからだ。

みんな我先に価値が減り続けるお金をモノに変えようとする。

モノに対する消費行動が活発になれば販売元企業の業績があがり、インフレを見越した賃上げも可能になる。

また借金してモノを買うことは、悪いことではなく、むしろ、早くモノを手に入れてしまうための、資金調達として順当な手段になる。

このような消費行動がインフレマインドと言われている。

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インフレマインドになれない私たち

しかし、インフレをあくまで一時的、と捉えてしまうような気がする。

その原因は大きく二つあるようにも思える。

一般的に言われているのが、インフレに賃上げが追いついていない、ということ。

インフレ率より賃上げが上回らない限り、順当なインフレスパイラルにはならない。

モノを買う支出より、給料などの収入が同じか、それより多くならないと、消費マインドにならないからだ。

賃上げがインフレ率を上回らない限り、消費行動に移しにくいというのは当然の帰結だと思う。

しかし個人的には、ここ最近のニュースがあまりにもインフレについてやかましいことも原因なのではないか、と思っている。

食品など生活必需品の値上がりについては、生まれてこのかた、ニュースで何度も耳にしている。

ただそれは何か特定のイベントが発生した時、それに起因する食品の値上がりを伝えるニュースだった。

たとえば、鳥インフルエンザが発生すれば、卵の値段、干魃が続けば米の値段、など特定の現象が特定の品目に影響を与えるニュースだ。

しかし世界がインフレを掲げ、日本もそれに倣っているわけだから、今後インフレになるのは異常時ではなく「通常運転」であり、当たり前の現象になるのだ。

にもかかわらず、全部のものやサービスに値段が上がっていることに、視聴者を煽るように、ニュースで取り上げて、インタビューして、値上がりによる国民の悲鳴、さも緊急事態かのようにして取り上げている。

こんなニュースでインフレの嫌なイメージ、苦しめるイメージをもたされたら、いやでも物価高の側面だけを意識してしまう。

インフレマインドは、これからもインフレし続けるだろうという(いわゆるインフレ期待)マインド、気持ちで成り立っているのだから、いつまでもネガティブ報道されるとインフレマインドは形成されにくいはずである。

インフレの世界

それでも結局、インフレは持続するとされる。

健全なインフレを維持することは、各国の至上課題だからだ。

そして、常時インフレが続けば、否が応でも我々はインフレを受け入れ、慣れに変わるだろう。

インフレが当たり前になる世の中になると、労働者はインフレを予測して、賃上げを要求するか、高い賃金の会社に転職をするようになる。

賃金が増えた労働者がモノを消費するようになり、モノの物価が再度上がるようになる。

モノの物価が上がり、消費行動が活発化すると、企業の業績が増える。

企業はインフレを見越し、労働者の賃上げ要求に応えるようになる。

これがインフレを持続したスパイラルだ。

近年の春闘でも賃上げが目立つし、新卒でも年収1000万円で雇用する、といったニュースもみられるようになった。

もしかすると今インフレJAPANの産声を上げたのではないだろうか。

そして今後も日本のインフレを維持することは至上課題だ。

先ほどいったように、世界各国がインフレ継続を目指しているからだ。

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もし仮に日本経済がインフレにならなかった場合、インフレ率についていけなかった分、輸入と輸出のバランスが崩れていく。

日本のものは安く買い叩かれ、海外のモノは高く買わされることになるからだ。

まるで植民地のような状態になる。

だから日本も否が応でもインフレを持続させなければならない。

住宅購入のタイミング

ここでようやく住宅購入のタイミングに目を向けようと思う。

住宅は土地と建物で構成されている。

なぜここまでインフレについて説明を割いたかというと、インフレはこれら二つとも強固な上昇圧力となるからだ。

オリンピック後は暴落する、人口が減るから暴落する、その話はどこに言ったんだと思うくらい、都市部に限られるものの、土地の値上がりが続けている。

特にTOKYOがこんなにも外国人に買われる日が来るとは誰も予想できなかった。

台湾有事や関東大地震が来ない限り、おそらくずっと都心部は上がり続けるだろう。

もしかしたら、台湾有事や地震が来ても、もう下がらないのかもしれない。

このままだと都心部に住めなくなった日本人がどんどん郊外に流出する。

実際、埼玉なら浦和、大宮、千葉なら市川、船橋など都心にアクセスの良い立地に人が流失し、その土地価格はどんどん値上がりしている。

また建物の建築費用の面で考えても、常に値上がりしている。

そもそも住宅の建築費はこれまで一度もさがったことがない。

さらに性能の良い住宅というのは、輪をかけて値段が上がり続けることが予想される。

長期優良住宅というのは全世帯の5%程度で、今後高確率に発生する大地震、悪化する気候変動のことを考えれば、耐震性能、断熱性能の高い家づくりが求められ続ける。

しかし一方で、作り手である大工の成り手は現在進行形で減り続けている。

つまりは、建築資材、運用コストの上昇に職人不足が加わり、住宅費の高騰スパライルは間違いなく避けられそうにない。

それは同じ住まい建築というカテゴリーである以上マンション建築費も当然値上がりする一方である。

このことで言えることは、常に「今」が一番安く住宅を買えるタイミングである可能性は高いようだ。

これからしばらくは土地と建物価格は上がり続けるのだから。

そしてそれは建築費用だけのことだけではなく、住宅ローンの金利にも言えることだ。

インフレが持続すると、それに呼応して、金利も上昇するからだ。

健全なインフレが続けば、銀行に借りてモノを購入することは、先述した通り、非常に有効な手立てとなる。

なので銀行はそれに呼応して、利益を増やすために、金利をあげる。

つまりインフレが持続するということは、今後金利もあがるということだ。

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値段が安くなるタイミングなどは考えずに、欲しい時に住宅を買うのが、一番安いタイミングなのであれば、変に考えを巡らせなくてもよいという意味では楽といえる。

行動経済学の観点からの住宅購入

行動経済学の観点から考えてみると、今後家賃が上昇して買わなかった家を買わなかった後悔と買ってしまって発生しうる後悔を比べてみると、買わなかった後悔の方が強いようだ。

人は将来の感情を過大評価しがちであり、幸運であっても、不運であっても、しばらくすると何もなかったことと同じような幸福度に変わるという。

例えば宝くじにあたっても半年後には宝くじの非購入者と同じ幸福度になるようだし、たとえ片足がなく不幸があっても、不思議と幸福度は元に戻るようになるようだ。

つまり将来のことに関しては、予想した感情を低く見積らないと正確ではないようだ。

その点からいくと、毎年上がる家賃に比べて、家を購入した後のリスク(欠陥住宅など)を考えると、購入した方が後悔が少なくなるということだ。

まとめ 感想

住宅は買いたい時が買い時というのはどうやら間違いないようだ。

インフレ時はそのモノが必要ならば、早めに行動に移さないといけない。

社会情勢をいえば、アメリカの再高インフレリスク、世界のマネーの紙屑化リスク、中国含めた反米主義国家のドルからの離脱など、お金の価値を脅かすような話ばかりだ。

欲しくても住宅が買えない時代が来るかもしれない。

住宅を買うことを決心しているのならば、待っているメリットはなさそうだ。

一方で、賃貸、マンション、戸建て、は人による、もっといえば一緒にいる家族構成にもよる、ということだともわかっている。

独身ならば、有事の際は、回避行動取りやすいため、都心部で職場に近い賃貸が良いと思う。

仮に家賃の上昇に耐えられなければ、自分が住めるところに引っ越せば良い。

自分だけの話であれば、それほど大変なことではないだろう。

しかし、私のように、子育て世代だったら、都心部にアクセスのよい、ハザードのない土地で、高性能住宅を建てられるのであれば、それが一番だと思う。

なお資産性で言えば都心のマンションが有利だと言える。

インフレが続けば、都心のマンションは上がり続ける可能性が高い。

しかし私の考えとしては、都心のマンションは、資産性は一番かもしれないが、自然がなく、人が密集しており、災害にも弱く、子どもにとっては生きにくい環境だと感じる。

自然のないところで育つ子供の成長におけるリスクについては本記事に関連がないので、参考になった養老先生の著書を載せるに留めておく。

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災害が起きた場合は、子どもがいながら、電気の止まったマンションでどうやって生き延びればよいのか、見当もつかない。

インフラが混乱した都心なんて、ただの地獄でしかないだろう。

ならば都心より土地価格の上昇は緩やかかもしれないが、人の密集もなく、自然がほどよく存在し、災害にも強い郊外(できれば国道16号の内側だが)のハザードのない地域で戸建てを構えるのがよいと考える。

以上、ポジショントークと言われればそれまでだが、自分がとった行動の成否がわかるのは、住宅ローンをようやく返し終わった頃だろう。

30年近く経った後、この記事の答え合わせができるように、ブログは更新続けようと思う。

30代後半の医師、専門は脳神経外科。医局の出世レースから早々に弾き出され、田舎の病院でシコシコ診療をこなしていた。つい最近結婚して、ほぼ同時期に妻の妊娠が発覚した。毎日同じような診療をこなすことしか能がない医師が、ついに子育てという超一大事業に立ち向かうことになった。スーパードクターとは程遠い平凡な医師が幸せ家族計画を立ち上げてさまざまなことに挑戦している奮闘記ブログ。

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