もう受験シーズンの終わりを迎える頃だろうか。
私が学生のころは1月中旬あたりから入学試験が始まって、3月下旬にかけて続々と補欠繰り上げも含めて受験生の大学が決定していくイメージだ。
私の時も人気だったが、医学部人気は今それ以上に凄まじく、たとえば私の出身大学においては私のころの受験者数の倍程度になっている。
当然全体の学生数は少子化によって減少しているのにも関わらず増え続けているというのだ。
つくづく医者ってのは人気な職業なんだなと他人事のように感じる。
最近は少ないとはいえ、裏口入学や口利きが横行し、男女比、年齢差別(多浪生や社会人もしくは壮年期の受験者の点数を×0.8にしてしまうなど)もワイドショーに取り上げられて記憶に新しい。
裏口入学や口利きは酌量の余地はないとはいえ、深く考えずに自分が無知であることを承知であえて言うならば、男女比平等や年齢的差別というのは当たり前じゃないかと現場では思う。
このワイドショーでやたらさかんに議論が交わされていた女性入学者と高年齢受験者の差別について、この記事でぼやいてみたいと思う。
今現場に足りないのは、急患対応できて、当直できて、成り手の少ない科を希望する医師の数だ。
どうしても若い男の方が、体力的に優位であることに変わりなく、脳外科、心臓外科、循環器内科のような連日連夜オンコールできる医師になる素質があるのは自明だと思う。
だって普通に大変だから。
もちろんこういった旧体制然とした働き方が今もなお継続しているから大変なのだが、まずこのシステムをどうにかしてからでないと、もっと偏った人員配置になりかねない。
いまでもひどい偏りなのに、これ以上に当直を必要としないマイナー科に人が集中するということだ。
私が卒業した母校も、もうすでにどんどんメジャー科(内科、一般外科)の成り手が減り、耳鼻科、眼科などは志望者が増えていき、大学の医局で抱えきれず最初から関連病院に後期研修に送り込むくらいだ。
はっきり言って急患対応ができない医者が増えてもこちらとしては何もありがたくないのだ。
若く体力のある医師(まさに兵隊)が必要なのだ。
救急の現場で働くことを志望する医師はやはり若く体力に自信があればこそである。
若く体力のある卒業生の母集団を増やさなければ、相対的にそういった現場に所属する医師の数は増えない。
普通に考えておじさんおばさんが医学部卒業して、救急に現場に行こうとはなかなかならないだろう。
間違いなく尻込みするし、こちらとしても患者と同じようにそちら方の健康を気にしてしまう。
男女比の問題や年齢差別が横行する根源たる問題はどこなのかというと、医師の働き方の問題と開業医だけが贅沢する環境を是正するといった問題をどうにかしないと歪な形で平等が一人歩きしてしまう気がするのだが。
なので男女間差別は年齢差別がよいといっているわけではなく、今の環境で我々の現場の人手がさらにいなくなるようなことはやめてくれ!と言っているのである。
こんな話だれが理解できるのかわからんし、この意見はやや尖っていることも承知だけれども、今日また当直でして、めちゃめちゃに削られると思うので許していただきたい。
さて、今日も削られに仕事しに行くか。
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