不適切な救急要請

医師日記

たまにメディアに取り扱われるため聞いたことがある人も多いのではないだろうか

不適切な救急要請について

今回はこの話題に触れたいと思う。

病院へ行くためのタクシー代わりで要請する

病院まで行く体力と金銭を温存するために救急車を呼ぶ行為は後をたたない。

救急車を1回出動するのに必要な費用は、諸経費込みでおよそ4万5千円かかる。

もちろんこれは税金で賄われている。

あっけらかんと「タクシー呼ぶのがしんどいから救急車呼んだ」と言い放つ輩もいる。

こんな非常識な人間を診察しながら、我々が頑張って稼いで支払った血税を、またこいつらが消費していくのかと考えると虚しい気持ちになる。

非常識な人間を支えてしまうような国のシステムに鞭を打たれながら、まともな人間が奴隷のように働かされているのかもしれないと思いたくなる。

このことはもう少しメディアに取り上げられて、こういった輩達は国民の怒りの対象になった方が正直世のためなのではないだろうか。

救急車呼んで、日中の外来の混雑を避けようとする

大学病院が代表的だが、市中総合病院も含めた急患を受け入れる病院はとにかく患者が多い。

来院してから1,2時間待つなどザラではないだろうか。

ただそれでも順番を待つと言うのは常識だ。

しかしそれを避けるために救急外来で診察を受けて、順番を避けようとする非常識な人間もいる。

救急車呼ばないで、混雑を避けるために時間外で直接来院して受診しようとする場合もある。

ただもちろん救急外来で一般外来のような長期処方はしないため、だいたいどこの病院も数日処方分しかしない。

当然だ、初めて会う患者に無責任に数ヶ月分も処方などしない。

不適切極まりない受診行為に及んでなお、なにかと悪態をついて帰る輩も少なからずいる。

本当に根っこまで非常識な輩はもはや我々と同じ人間なのか疑うほどだ。

救急車まで呼んで、入院が必要でも拒否しようとする

意味がうまく伝わらないかもしれないが、それはこの行動が理解できない行為であることの証左なのかもしれない。

なんか調子が悪いといって救急車まで呼んでいるのに、こちらが安静、経過観察のために入院を勧めると拒否する。

なんのために救急車を呼んで、時間外に大切なマンパワーを割かさせているのか。

自分のために一体どれだけの人件費や医療費をかけて対応させているのか。

それが確かに可視化できていないからこういうことが起きるのかもしれないが、なぜこちらの言う通りにしようとしないのか理解に苦しむ。

自傷行為による救急要請

わたしが以前勤めていた勤務先のことだが、中年女性が交際相手と口喧嘩をして感情的になり自分の手首をその場で切った、という救急要請を受けた。

私が脳外科医なので、腱や動脈まで到達していると手首は専門外なので対応できないのだが、救急隊判断でその辺は問題なさそうとのことで受け入れた。

そういう患者は人間性にも問題があることもしばしばで、相当件数搬送お断りになっていた。

縫合処置中患者はこちらの指示に素直に従い、何回か謝罪の言葉も聞かれた。

無事処置が終わって抜糸の予約日時を伝えると医療従事者に感謝を述べながら診察室を出た。

その時は夜中の2時とかだったため、やれやれ疲れたなと思いながら仮眠を再開した。

朝外来に入ると、前夜についた看護師からその後におきたことについて聞かされた。

会計を見たその中年女性が会計事務に怒鳴り散らし、財布に入っていた額のみ払うと主張し、帰ってしまったのだと言う。

実は自傷行為は保険適応にならないため、救急要請と時間外受診と縫合処置を加えると患者に請求する額が10万を超えたようだ。

その額に不満を勝手に覚えて財布に入っていた2万をおいて去ってしまったのだという。

救急車受け入れ病院の収益構造

これら困った救急要請の背景には受け入れる病院側の事情もあるのかもしれない。

全く私の感想であり、事実に基づいているかどうかを確認する術はないのだが、この状況を病院側も容認しているのではないだろうか。

国単位や地区自治体単位でも救急受け入れ病院に対する経済的支援を行っている。

救急車の受け入れ台数に対する単価や救急車搬送から入院になった症例は単価は高額であり、また救急車受け入れ台数に応じて補助金が増減する。

なのでどんなに軽い症例でも救急車を呼んでもらってそれをたくさん受け入れた方が病院としても利益が出るのだ。

本来救急車でくる必要がない患者も受け入れることは、そういったわけで病院側にもメリットをもたらす。

なのでとにかく救急車を取れという病院経営者トップの号令のもと、我々末端は昼夜を問わず受け入れるわけで、他の病院も似たようなものだろう。

しかし受け入れ拒否で数件もたらい回しになる事象が後を絶たない。

発熱がありコロナの可能性がある患者はなおさらだ。

救急車を受け入れて稼ごうとしている病院が相当数あるなか、なぜこんなことが起こり得るのか。

問われる病院の存在意義

救急受け入れ病院が少ないわけではない。

医師が少ないのに世界一病院が多いという。

医師少ない日本に世界一病院が多いという謎
日本の医療を支える仕組みで、最も特徴的といえるのが「国民皆保険制度」です。社会保険方式の1つで、簡単に言えば、すべての人から少しずつおカネ(保険料)を徴収して、その集めたおカネを、医療を必要としてい…

対応能力が低い無駄な病院が多すぎて、その分医師の数や看護師の数が分散してしまっているのだ。

コロナ禍では空床病院がいくつもあるくせに入院できる病院がない、という何とも非効率な事象が起きてしまった。

しかもコロナの感染の患者の対応ができないがゆえに入院患者が減り、病院収益が減ってしまったため国からの補助金を目当てにする病院が多い。

コロナの対応ができなかった存在価値の薄い病院で死に体だったのに、そんな病院を皮肉にも生きながらえさせることになっているのだ。

軽症の救急車の搬送件数を増やして補助金を得ているような雑魚病院ばかりが増えてしまい、「本物」の本格的な医療対応が必要なことが予想される患者の要請はお断りする。

この際そんな病院を淘汰してしまい、有力な病院に医師を集めてしまえば、2024年の医師の働き方改革にも同時に解決できるのではないだろうか。

こういった無意味ないろんなものを削減していかない限り、社会保障費による国の財政逼迫は是正されない。

まとめ

患者側だけでなく、病院側のモラルや姿勢、国の補助金が無駄と非効率を生み出している。

現場から見える景色と監督側が見える景色はどうやら違うようだ。

現場にいるからこそ、生み出された医療の空白というのは見えてくるものであり、こういった生の声を吸い上げる組織があればある程度予防できるのではないだろうか。

医療は問題が山積している分、改革のメスを加えてうまく是正していけば一番改善の余地がある部分だと思う。

勢いのあまり当直明けの寝ぼけ眼で記事を書いてしまった。

おかげで発散できたのでぐっすりと今夜も寝られそうだ。

少し早いですがおやすみなさい。

30代後半の医師、専門は脳神経外科。医局の出世レースから早々に弾き出され、田舎の病院でシコシコ診療をこなしていた。つい最近結婚して、ほぼ同時期に妻の妊娠が発覚した。毎日同じような診療をこなすことしか能がない医師が、ついに子育てという超一大事業に立ち向かうことになった。スーパードクターとは程遠い平凡な医師が幸せ家族計画を立ち上げてさまざまなことに挑戦している奮闘記ブログ。

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